夏の自由研究、しばらくロボット作るのはやめときなさい。

自由研究

の季節がやってきた。

夏休みも後半に差し掛かり、もうすぐお盆。

おじいちゃんやおばあちゃんの家に親戚が集まった時、意外とやることはすぐに尽きてしまう。顔を合わせるのは年に数回しか無いにもかかわらず、たちまちみんな退屈になる。

そんなとき、たいてい話すことがなくなった誰かが沈黙に耐えきれず、

夏休みはどう? 宿題はもう終わった?

みたいな雑な話の振り方を子ども達にしてくる。

 

そうなったときにはたいてい、あたしたちはあいまいな返事でごまかしてきたんだけど、

どうせ自由研究とか後回しにしてるんでしょ?

とすぐに勘づかれる。

そしてその後、変に気を回した大人たちが自分たちの頃にやった自由研究の話とかを雑にアドバイスしてくる。

 

正直、迷惑この上ない。

 

お手製の図鑑を作るためにいちいち昆虫の名前を自分で調べなくたって、見つけた虫の写真をツイッターにアップして、

この虫は何ですか? 誰か教えてください…

とか言えば、親切な人が解説してくれる時代だ。

 

時代は変わったんですよ

としか言いようがない。

 

前回、田岡さんから「小学校でプログラミングの教育必修化」についての解説があった。

 

 

現在ではプログラミングが子供の習い事として人気となっている。学習指導要領の影響を直接受けるのは現在小学3年生以下の子供たちだけど、「プログラミング教育」が流行になっているのだから、広く子供たちにも影響があるはず。

 

きっと今頃多くの学生達が、

すげーものを作ったぞ! これを見たらみんなびっくりするだろうな! もしかして、2学期初日はヒーローになれちゃうかも!?

なんて気持ちを胸に、覚えたてのプログラミングを駆使して夏の課題に取り組んでいることだと思う。

他にも多くの子が、同じことを考えているとも知らずに…。

 

今だからこそ、確実にわかる。

今年と来年の自由研究は、確実に大量のプログラムが成果物として提出される。

2学期の初日、大勢の小学生たちが、

あれ? お前も?

って顔を見合わせる。拍子抜けして、そそくさと自分の作った研究を見せびらかすことなく机の上に提出しようとする。

そうしたら今度は先生のほうが、

やっぱり来たかプログラミング…。どうやって採点すればイイの?

って苦い顔をする。

 

みんなは2学期初日に気づくでしょう。

まずい、作ったものが完全によそとかぶった…

って。

そして、あたしはここまで書いて気づいた。

まずい、この記事が役立つのは小学生だけだ…

って。

 

でも、どうしても今回はこれだけは言いたかった。

今の時期は、自由研究にロボットを選ぶのはやめときなさい!
みんなもロボット選んでくるからどうせ!

 

オウンドベースが対象としているのは、10代から20代。小学4年生からはギリギリ10代だから、対象年齢の範囲内。

だから小学生にまで視野を広げた意見もOK!

 

ということで今回は、

日本や海外における、プログラミング教育への具体的取り組み

について書いていきたい。

社会がIT人材を求めている以上、たとえこの先プログラミングを仕事とせずとも、「プログラミングができること」が将来的に有利に働くことは間違いない。

だから今のうちから進捗状況を知っておくのは、あたしたちにとっても大切なこと。

 

そしてもしこれを読んでいる小学生がいたならば、

この後に書かれている内容を紙にまとめて、「自由研究」として提出するほうがずっとイイ!

「プログラミング」という流行要素と、「調べたことまとめ発表」という昔ながらの安心感のある自由研究スタイル。

 

新旧のスタイルの融合には、教師も思わずニッコリ。
絶対今の教師に好まれる内容になるはず!

 

ってことでまずは、「自由研究に役立つ!」と謳う日本の夏のプログラミング教室から見ていきたい。

 

 

スポンサードサーチ

2020年に向けて! 日本のプログラミング教育

「親が習わせたい習い事」ランキング1位はプログラミング教室。中学生男子のなりたい職業1位はITエンジニア・プログラマー、2位はゲームクリエイター。

なんていう結果も発表されているほど、なんだかんだ世間のプログラミングに対する関心は高い。それを受けてか、教育関連企業を中心に「プログラミング」への取り組み方へのリリースが続々と出されている。

 

たとえば、「夏の自由研究」というテーマだけでも、

プログラミングを覚えて自由研究にしよう!

みたいな企画がとても多い。

①ゲームを作るサマーキャンプ

小学生向けプログラミング教室「プロスタキッズ」各校が、7月中旬~8月末の夏休み期間にを開催している。

全1日のサマーキャンプでは、1日目から3日目までがメイクコード体験、4日目 にはmicro:bitをプログラミングしてゲームを作成するとのこと。

「micro:bit」…1980年代に情報教育のために英国放送協会が開発した、イギリスの11歳と12歳の小学生向けのシングルボードコンピュータのこと。

使ったmicro:bitと作成データは持ち帰りも可能で、自由研究の発表に使うこともできるっていう段取りになっている。

 

キャンプと聞いたら山の中で大自然に触れ合うイメージだけど、完全にこの企画においては正反対を突き進んでいる。

 

電子工作で「キラキラ風鈴」を作る

こちらは2018年の8月2日に開かれた、親子の自由研究イベント。現在はもう終了してしまっているけれど、小さなコンピューターであるmicro:bitと電気を通す導電糸を使用して、揺れると光りながら音が鳴る「キラキラ風鈴」を作ろうというものだった。

ここでも出てくる「micro:bit」、今や本当に知らないと恥ずかしいレベルかもしれない。

この日のイベントは1日3部構成だったみたいだから…割と短時間で作れるのね。

 

「Pepper」 自由研究チャレンジ

ソフトバンクグループによる、夏休み期間中にロボット・プログラミングツール「RoboBlocks」を一般に無料公開するというイベント。

「RoboBlocks」とは前回の記事にも出てきたビジュアルプログラミング言語 「Scratch」 をベースに出来ている、Pepperをプログラミングするソフトウェアのことらしい。

「人をみつけたら」「手を振って」「こんにちわ、僕はPepperです、としゃべらせる」などのプログラムを組んでPepper上で動作させることができる! しかも完成したプログラムはメモリカード等に保存して、先生などに提出することができる!

…と謳っているが、保存されたプログラムを見て、

その素晴らしさを評価できる学校の先生は、いったいどれだけいるのだろう?

 

うん…なんかよくわかんないけど頑張った!

みたいに、「THE お茶濁し」ってリアクションしかもらえないと思う。

 

「先生をびっくりさせよう!Pepper 自由研究チャレンジ」

というサブタイトルらしいけど、そりゃ先生もびっくりするさ。

Pepperのプログラムを課題で提出しているのに、肝心のPepperがどこにもないんだから!

 


とまぁ夏の自由研究はこんなもんだけど、やっぱりこの先課題になりそうなのは

教員にプログラミングの指導が出来るのか?

ってところだと思う。

このご時世、教師よりも小学生のほうがプログラミングに触れる機会が多い。その上仮に、教師も生徒もプログラミングに全く触れたことのない状態でスタートしたならば、柔軟性と吸収力の差で小学生のほうが上達が早そうな気もする。

 

そんな悩みに対策を提示しているのが、教育業界大手のベネッセ

「ミライシード」

という授業支援ソフトを準備し、2019年4月からプログラミング教育の教材と独自で開発したテキストおよび指導書を無償で提供するなど、プログラミング教育支援を開始すると発表された。

ICT(=情報通信技術)支援員を全国の学校に派遣するなど、さすがはベネッセ。学校教師のプログラミング授業に関する懸念への対処を忘れない。

上記の夏の自由研究イベントは B to C
ベネッセがしていることは B to B

になる。

 

もちろんこのような動きは日本だけのことではない。むしろ、海外ではもっと早くからプログラミング教育推進の動きが進んでいる。

ということで、ここからは海外の取り組みについてまとめていく。

 

 

世界のプログラミング教育

諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究

というものが文部科学省委託のもと、調査資料として発表されている。

ところが、中を読んでみるとすぐに気づく。

分量が多すぎてよくわからん…

 

だから、ヨーロッパの国をもう少し端的にまとめて書くので、

小学生たちはこれをもとに自由研究のまとめに使って欲しい。

 

①イギリス

イギリスでは義務教育の5〜16歳を対象に、2014年9月からプログラミング教育が必修化されている。教科名は「Computing」。日本と異なり、ここにはアルゴリズムの理解やプログラミング言語の学習なども含まれている。

小学校でのおおまかな指導内容は、下記の通り。

< Stage 1>
○アルゴリズムがパソコンやスマホなどでプログラムとしてどのように実行されるか
○簡単なプログラム作成と修正(デバッグ)
○「こうすればこうなる?」という簡単なプログラムの予測
○目的に合わせたデジタルコンテンツを創作、整理、保存、操作、呼び出し、検索の方法
○学校外での一般的な情報技術の利用について
○個人情報を守りながら情報技術を利用する心構え(プライバシー)

< Stage 2>
○Stage1の延長=目的を達成するためのプログラム設計や作成、修正(デバッグ)
○プログラムを小さなパーツに分解する
○プログラムにシーケンス(順次)、選択、繰り返しを使用する。
○簡単なアルゴリズムの説明
○インターネットを含むコンピュータネットワークについての理解。
○効果的な検索や、必要な情報を的確に探しだせるようになる方法
○パソコンやスマホなど、いろいろな機械(デバイス)を使い方
○やってイイことと悪いことの認識

…なるほど、難しすぎてあんまりわかんない。

ちなみに、成績評価のテストもあるとのこと。

こうなってくると、やはり日本の出遅れが心配になってしまう。

 

小学生では学級担任が指導を担当しており、中学生では基本的に専門の教員が指導するのが基本スタイルだけど、人材不足で理科や数学の教員が担当する場合もあるらしい。

やっぱり、人材不足はどこも一緒のようだ。

 

②エストニア

…どこ?

と感じる人のために、ざっくりと説明から。

エストニアは、ラトビア・リトアニアで構成されるバルト三国の一国。国全体の人口が130万人で、だいたい「さいたま市」の人口と同じくらい。

「Skype」が生まれた国が、実はエストニア。

知ってた? あたしは知らなかった。

他にも、法案の草案をオンラインで公開して意見を求めたり、選挙もオンラインだったり、国民の7割以上はオンラインバンキングを利用しているというITが発達している国らしい。「マイナンバー」みたいなものを2002年に始めていますし、「e-Estonia」というシステムを使って会社登記・税申告など行政手続きや、市民生活に関わるものの多くをネット上で完結出来るようになってるし…。

日本、完敗じゃない? これはすごい。

 

こんなヨーロッパの小国でも、プログラミング教育に力をいれている。小学校1年生からすべての公立学校でプログラミングの授業が選択できるように活動が進められている。

理由は、

企業がプログラマー確保に苦戦しているから。

ここだけは日本と同じだ。

 

エストニアのITへの取組はソビエト連邦時代にさかのぼる。ソ連を中心とする社会主義国の共同体の中で、各国がそれぞれの分野を担当して産業を特化し、資本主義(アメリカなど)に対応していこうという方針になった。

そのときにエストニアが担当していたのが、「情報通信産業」だった。

1991年に国家として独立してからも、国中をあげてIT とバイオテクノロジーに資本を集中していくことを決めているエストニア。そんな流れがあって、2012 年 9 月に、「ProgeTiiger」というプログラミング教育推進プログラムが開始された。

ProgeTiigerは「Informatics」という選択教科を作り、その中でプログラミングが扱われている。

 

カリキュラムの内容(目標)としては

○コンピュータを用いた情報の検索、 処理、分析
○ICT を用いる際に生じる可能性のある、「健康状態やセキュリティ、個人情報保護への脅威」から身を守る方法
○ ICT を活用して、効果的な学習環境づくり
○バーチャルなコミュニティに参加し、オンライン環境を活用して、知的財産権の保護に従いながらのデジタルデータの公表

基礎からじっくり教育って感じのイギリスに比べたら、基本的には同じだけれど

とにかく早く実践へ!

って感じが強く出ている。

 

実は、このプログラミングの授業を行うかどうかは、学校単位で決めてイイらしい。つまり、エストニアでは必ずしも必修ではない。

エストニアには、ベーシックスクールと呼ばれる7歳から15歳までの学校と、16歳から18歳までのアッパーセカンダリースクールがあり、選択科目としてプログラミング教育やネットリテラシーの教育がなされている。

「エストニア」の名前は、プログラミング教育の準備が進むに連れてますます耳にする機会が増えると思う。

 

 

③フィンランド

フィンランドと聞いて思い浮かぶものといえば、

・ムーミン
・サンタクロース
・水力発電
・木材

…ITっぽくなくない?

と思うかもしれないけど、「ノキア」(携帯電話端末メーカー)を筆頭としたIT企業も多い。

エストニアほどではないにせよ、フィンランドの人口もわずか540万人しかいない。日本で言うところの北海道全体の人口くらい。

だからプログラミング教育は、国家の生き残りをかけたプロジェクトとして位置づけられている。

フィンランドでは、プログラミング教育は2016年8月より義務教育に導入されることになった。北欧の国とあって社会福祉が充実しているため、義務教育ではすべての子どもたちに対し、授業料、教材、文房具、毎日の給食が無料。非常に恵まれた教育環境が整えられている。

日本の教育課程で言うところの中学1年生~中学3年生あたりで、本格的なプログラミングを行うみたいだ。だけど実際の義務教育の学習では、「プログラミング」という独立した科目はなく、すべての科目に横断的に取り入れられている。算数での導入が多くなるけど、音楽や体育といった教科にも組み込まれているらしい。

上記の他の国と違うところは、

今ある教科にプログラミングの学習が組み込まれているので、授業時間そのものが増えるわけではない

ということ。

そして、この形式は日本のプログラミング教育と同じだと言える。

余談だけど、フィンランドには起業家の祭典「スラッシュ」というものがある。多くの起業家や投資家が集う場所らしくて、プログラミング教育が進んだフィンランドでは、さらにこういうIT起業家が増えると予想される。あたしも行ってみたい。

 

これらの国の他にも、アメリカ、フランス、ドイツ、スウェーデン、ロシア、韓国、香港、インド…とにかく多くの国でプログラミング教育は推進されている。

 

まとめ

こんな風に、日本や海外を巡るプログラミング教育の現状をまとめてきたけど、あたしが言いたいのは

なんでもかんでも新しいものに飛びつけばイイってものでもない!

ってことだ。

 

プログラマーになりたくてなる人がいるなら、その働き方って素晴らしい。

でも、よくわかんないまま世間の風潮に流されるままプログラマーって道を選んでしまう人が増えたら、

やりたくないのにプログラマーになる

プログラマーの数だけが増える

プログラマーの市場価値が下がる

プログラマーの給料が下がる

本当はやりたいのに、経済的理由から辞める人が増える

みたいな負の連鎖が起こらないとも言えない。

 

ナニカ新しいものが出てきた時、趣味としてすぐに飛びつくのはいいけれどそれを仕事にしようと思ったら、

ひと呼吸置いて、本当にやりたいことかどうか吟味してから行動に移す

ってことを忘れずにやってほしい。

 



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です